塗料の種類と機能

屋根塗装は単に外観を美化するだけでなく、家全体の健康を維持する重要な役割を果たします。それは、雨漏りを防ぐことで屋根の寿命を延ばしたり、断熱性能を向上させて室温を調整したり、さらには遮熱効果で夏の暑さを抑制したりと、さまざまな機能を持っています。長期的に見れば、定期的なメンテナンスを怠ると、屋根の基礎部分が損傷し、修理費が跳ね上がる可能性があります。だからこそ、適切なタイミングでの屋根塗装が非常に重要なのです。
また、屋根の改修に使用する塗料は多種多様で、それぞれが耐久性や機能性、価格などで異なる特性を持っています。それぞれの特性を理解し、熟考した上で選ぶことが求められます。

塗料の種類

アクリル塗料

もし予算を最優先に考えるなら、アクリル塗料が最も手頃な選択肢となります。1㎡あたりの費用はおおよそ1,500円で、全体の塗装費用は約15万円程度となり、とてもリーズナブルな価格設定です。ただし、その対価として耐用年数は5〜7年と、他の塗料に比べて短いのが現実です。

アクリル塗料はその手ごろな価格と取り扱いやすさから、DIYリフォームでもよく使われます。また、カラーバリエーションが豊富なので、自分の理想通りのデザインに仕上げやすいのも魅力です。ただし、紫外線に弱いという特性があり、3年も経てば塗膜が徐々に剥がれ始めることもあり、耐久性はそれほど高くないのが欠点です。

したがって、アクリル塗料は「頻繁に塗装の変更を考えている」や「とにかく費用を抑えたい」方にピッタリです。ただし、今後の塗り直しを見越した場合、耐久性の高い塗料が長期的にはコストパフォーマンスを上げてくれることも念頭に置いておくと良いでしょう。

ウレタン塗料

予算に余裕が少しでもある場合、ウレタン塗料が良い選択肢になります。1㎡あたりの価格は1,500〜2,200円程度で、全体の塗装費用は大体25万円となります。その耐用年数は約8年と、アクリル塗料より長いです。

ウレタン塗料の魅力はその手頃な価格と扱いやすさです。DIYリフォームでも頻繁に用いられますが、その塗膜は光沢があり、アクリル塗料よりも豪華な仕上がりになります。柔らかい材質で弾力性があり、モルタルなどのひび割れを起こしやすい材質とも相性が良いです。しかし、ウレタン塗料も紫外線に弱く、耐用年数はそれほど長くありません。日差しが直接当たる場所では、劣化が速まることがあり、塗り替えが頻繁に必要となることがあります。

ウレタン塗料は、「DIYで豪華な外観に仕上げたい」や「外壁のひび割れを抑制したい」方に適しています。予算を考慮して、雨樋や戸袋など細部だけウレタン塗料を使用するという方法もあります。ただし、この場合、他の部分との塗り替えタイミングがズレる可能性があるので、その点は注意が必要です。

シリコン塗料

シリコン塗料は、一般的に非常に人気があります。1㎡当たりのコストは約2,000〜3,500円で、全体の塗装費用は大体35万〜45万円となります。その耐久性は13年という長さで、非常に長持ちします。

シリコン塗料の利点はその耐久性とコストのバランスで、コストパフォーマンスに優れています。その耐水性や耐熱性の高さから、湿気や太陽の熱によりすぐに塗装がはがれることはありません。硬い塗膜が特徴で、水をよくはじきますから、湿度や雨水による屋根の劣化を防ぎます。どの塗料を選ぶべきか迷った際には、シリコンを選択すれば間違いはないでしょう。

ただし、シリコン塗料の中にもグレードの差があり、その機能性も異なりますから、注意が必要です。水性か油性1液型か油性2液型かにより、耐久性やコスト、特性などが異なります。

油性塗料は強い塗膜を作り、汚れがつきにくいです。ただし、油性塗料の使用にはシンナーが必要なので、その独特の臭いが気になるかもしれません。また、環境面を考慮すると、油性塗料の使用は減少傾向にあります。それに対して、水性塗料は塗膜の強度では油性に比べ劣りますが、水を使って希釈するので安全性が高いです。近年では、強度の高い水性塗料も多く開発されています。

1液型と2液型の違いについては、1液型は混ぜ合わせずにそのまま使用します。2液型よりも安価ですが、耐久性は少し劣ります。一方、2液型は主液と硬化剤を混ぜ合わせて使用します。

フッ素塗料

フッ素系塗料は、その高い耐候性により近年増えつつある塗料の選択肢の一つです。1㎡当たりの価格は約4,000〜5,000円で、全体の塗装費用は約50万〜70万円となります。その耐用年数は約18年と長く、メンテナンスの間隔を長くできるのもこの塗料の魅力の一つです。

屋根は常に紫外線や雨風にさらされているため、メーカーが示す耐用年数よりも早く塗り替えが必要となる場合があります。しかし、フッ素系塗料の場合、その耐用年数の信頼性が高く、予期せぬ修理やリフォームの発生を避けることが期待できます。

また、フッ素系塗料は親水性を持つため、雨水と共に汚れやほこりを自然に洗い流すという特性も持ちます。そのため、メンテナンスにかかる手間が少ないので、家を空けることが多い方やお手入れの時間が確保できない方に特におすすめの塗料と言えるでしょう。

無機塗料

無機塗料は、従来の有機物だけではなく、無機物も配合された新世代の塗料です。1㎡あたり4,500〜5,500円と価格は高めですが、その塗装費用の高さは約70万円という耐用年数の長さで補われます。その耐用年数は約20〜25年と、フッ素系塗料よりも優れた耐候性を誇ります。

多くの塗料がセラミックやケイ素などの有機物を主成分としていますが、無機塗料はガラスや石、鉱物など、自然界に存在する無機物を含んでいます。これにより経年劣化を防ぎ、カビや苔の発生も抑えることができます。また、有機塗料よりも燃えにくい特性を持つため、防火面でも優れています。そのため、塗り替えの頻度を減らしたい方や、機能性に重きを置く方におすすめです。

しかし、無機塗料は防汚性に優れており、表面が滑らかであるため、再塗装をする際に新たな塗料が剥がれやすくなることがあります。この点に注意が必要です。また、無機塗料は施工が難しく、塗装の仕上がりが業者の技術力に左右されます。そのため、信頼できるリフォーム業者に依頼することが大切です。

屋根塗料の
機能性も要チェック

断熱塗料

断熱塗料はその名の通り「断熱」効果を持つ塗料で、家屋の中の熱を外部に逃さないようにする役割があります。一方で「遮熱」は外部からの熱を遮断し、家屋の中を冷やすことを防ぐ効果があります。

断熱塗料の利点は、特に気候の寒冷地で有用で、外部の低温による室内の冷えを防ぐことで暖房効果を高め、エネルギー効率を上げる効果があります。逆に暖かい気候の地域では、遮熱塗料がよく使われ、これは家屋内部の温度上昇を防ぐためです。

しかし、その効果を最大限に引き出すためには、家全体の断熱・遮熱設計と併せて考えることが重要です。また、断熱塗料を使用する場合は、プロの施工による正しい施工が求められるので、専門的な知識を持った業者に相談しましょう。

遮熱塗料

遮熱塗料は太陽からの熱を反射し、屋根の表面温度を下げることで、建物内部の温度上昇を抑制します。そのため、特に夏場の高温時に効果を発揮し、室内の冷房負荷を軽減することが期待できます。

遮熱塗料の効果は、建物の形状や位置、周囲の環境、遮熱塗料の種類や色、塗布の方法などにより変化しますので、それらを考慮した上で適切な遮熱塗料を選ぶことが大切です。

また、遮熱塗料の使用は夏場の冷房効果を向上させますが、冬場の暖房効果には対して影響を与えない可能性があります。そのため、年間を通じて快適な室内環境を維持するためには、断熱材の導入など他の方法と組み合わせることが求められます。専門的な知識を持った業者に相談し、自身の状況に最適な方法を選びましょう。

光触媒塗料

光触媒塗料は、太陽光(紫外線または可視光)により化学反応を引き起こし、表面の汚れを酸化分解し自浄作用を持つ塗料です。

この自浄作用は、雨水と組み合わせることでさらに強化されます。光触媒作用で汚れが分解され、それを雨水が洗い流すというメカニズムです。これにより、建物の外壁や屋根などが常に清潔に保たれ、メンテナンスコストを削減できます。

光触媒塗料の中でも、特に最新の可視光型は、紫外線だけでなく、自然光や室内の照明から出る可視光にも反応します。これにより、雨や雲で太陽光が少ない日や、室内の壁など太陽光が届かない場所でも自浄作用が発揮されます。

しかし、その一方で、光触媒塗料は一般的な塗料と比べて費用が高く、施工も専門的な技術が必要となるため、業者選びは慎重に行う必要があります。また、光触媒作用による自浄性能はあくまで補助的なもので、それだけで完全に汚れを防ぐことはできません。そのため、定期的なメンテナンスは必要となります。

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